SOFRIA
SOFRIA — TURNING VISIONS INTO VISUALS
SOFRIA JOURNAL ESSAY 01 / 07

AIでデザインの仕事はなくなるのか

画像も文章も、指示を入力すると形になる。制作に関わる人なら、その便利さと同時に「自分の仕事はどこに残るのか」と感じることがあるはずです。SofriaもAIを制作に活用しています。だからこそ、変化を小さく見積もらず、仕事をひとつの塊として語らないところから始めたいと思います。

「デザインの仕事」を工程に分けてみる

たとえば、店舗の新しいWebサイトを作るとします。写真やイラストを用意するだけでなく、誰に来てほしいのかを聞き、必要な情報を整理し、予約までの流れを設計し、スマートフォンで読めるかを確認する。公開後に情報を更新できるかも、制作の一部です。

このうち、ラフの候補を出す、文章の別案を作る、画像の方向性を探る工程には、AIを使える場面があります。一方、候補が増えても、店の実情と合っているか、利用者が迷わないかは別の問いです。生成の速さと、完成品として使えることは同じではありません。

制作は、生成だけでは終わらない。目的を決める:誰に、何を伝えるか。作る・比較する:AIの案と制作の知識を組み合わせる。確かめて届ける:事実・読みやすさ・運用を確認する
制作工程を考えるための概念図。AIを使う範囲は案件によって変わり、各工程の間を行き来します。

なくならないと言い切ることもできない

「最後は人間だから大丈夫」とだけ言うのは、制作会社として誠実ではないと考えます。これまで時間をかけていた作業が短くなれば、依頼の内容や価格への期待も変わり得ます。作業量に価値を置いてきた仕事ほど、説明の仕方を見直す必要があるでしょう。

ILOの2025年の研究は、生成AIが職業に与え得る影響を作業単位で推計しています。ここでいう技術への曝露は、そのまま失業の予測を意味しません。技術的にできることと、組織が実際に任せること、その結果として雇用がどう変わるかは分けて読む必要があります。

候補が増えるほど、選ぶ理由が必要になる

仮に、ひとつの広告に対して短時間で20案を作れたとします。その20案の中から、派手な案を選ぶのか、商品が正確に伝わる案を選ぶのか。価格や注意事項が読みやすいか、元の商品にない特徴を描いていないか。比較の基準がなければ、候補の多さがそのまま迷いになります。

作る力を手放してよいという話でもありません。文字組み、余白、色、写真の扱いを理解しているからこそ、違和感を見つけて直せます。AIの出力を採用しない判断や、別の方法で仕上げる選択も含めて、デザインの知識は評価の土台になります。

Sofriaではどう考えるか

Sofriaは制作実績として「AIポートレート・モーションスタディ」などを公開しています。AIを用いた表現を実際に見せられることと、あらゆる案件で同じ方法が適していることは別です。この連載では、公開している制作物を実例として扱い、確認できない効率改善の数字や顧客の反応は語りません。

私たちが大切にしたいのは、「何を作れるか」に加えて「なぜそれを選ぶか」を説明できることです。AIを使うかどうかも目的から考える。仕事の形が変わる可能性を受け止めながら、成果物を相手の状況に合わせて届ける力を磨く。それが制作会社としての出発点です。

補足:バナー制作を工程で見ると

架空の新商品バナーを例にすると、最初の材料は商品写真、価格、発売日、掲載先のサイズです。ここが未確定なら、どれだけ美しい画像を作っても、実際に掲載できる広告にはなりません。まず確定情報と仮置きの情報を分けます。

次に、商品を大きく見せる案と、使用場面を伝える案を比較します。AIは方向性を広げる助けになりますが、比較するときは同じ条件を使います。片方だけ文字が大きい、価格が抜けている、といった状態では、表現の違いと情報の差が混ざるからです。

最後は小さな表示でも読めるか、商品に存在しない形や付属品を加えていないか、リンク先と説明が一致するかを確認します。こうして工程を並べると、作業が短くなる部分と、判断が必要な部分を具体的に話せます。AIを導入する前の業務整理にも使える見方です。

よくある疑問

Q. デザイナーは、これから何を学ぶとよいのでしょうか。

文字組みやレイアウトなどの基礎に加え、依頼の目的を整理する力と、出力を検証する力を組み合わせることが大切だと考えます。ツールの操作は変わっても、読み手に何が伝わるかを説明する力は別の道具にも応用できます。

Q. AIを使えば制作費は必ず安くなりますか。

案件によります。生成が短くなっても、資料整理や確認、修正に時間がかかる場合があります。単に作業時間だけを比べず、必要な工程と仕上がりの条件をそろえて見積もる必要があります。

では、AIに作業を頼むだけでなく、役割を分け、結果を評価するには何が必要でしょうか。次回は「AIをディレクションする」という仕事を考えます。

出典・参考資料

外部資料の説明とSofriaの考察・提案を分けて記載しています。技術や制度は資料確認時点の情報です。

連載を読む

  1. 01
    公開 この記事

    AIでデザインの仕事はなくなるのか

  2. 02
    公開予定

    AIを使う人からAIをディレクションする人へ

  3. 03
    公開予定

    ディレクターすらAIになったら人間には何が残るのか

  4. 04
    公開予定

    SNSの中にいるのは本当に人間なのか

  5. 05
    公開予定

    口コミを信用できなくなる時代

  6. 06
    公開予定

    AI時代のネットリテラシーと新しい格差

  7. 07
    公開予定

    AIに仕事を奪われるのか、それとも今がビジネスチャンスなのか