細部が伝えるのは、臨場感
文章に具体的な描写があると、私たちは場面を思い浮かべやすくなります。少しの不満や個人的な好みも、体験談らしさを生みます。
ただし、こうした表現は創作にも使われます。小説の場面が鮮明に浮かんでも、その出来事が実際に起きたとは限りません。
生成AIがつくる文章にも、同じことが言えます。店の紹介や既存の感想をもとに、訪問したかのような文章をつくれても、それだけでは誰かの来店体験を裏づけられません。
具体的な描写は、体験を伝える力になります。しかし、体験があったことを、それ自体で証明するものではありません。
AIが整えた、本当の体験もある
実際に食事をした人が、箇条書きの感想をAIに整えてもらうこともあります。自分の経験を別の言語で伝えるために、翻訳や文章作成の支援を使う人もいるでしょう。
その場合に確認したいのは、元の体験が保たれているかです。
「料理がおいしかった」というメモから、本人が話していない香りや接客の描写まで加わっていないか。「少し待った」が、待ち時間を楽しんだという意味に変わっていないか。
本人が体験していても、編集の途中で事実や感想が変わる可能性はあります。反対に、人間が一文字ずつ書いていても、体験そのものが作り話の場合はあります。
文章に使った道具だけでは、その内容の確かさは判断できないのです。
制作する側が守りたい境界
お客様の声を読みやすく整えることは、制作の仕事の一つです。そのとき、伝わりやすくする編集と、内容をつくり足す編集の境界を守る必要があります。
元の発言にない成果を加えない。個人の感想を、誰にでも当てはまる効果に変えない。意味に関わる修正は、発言者に確認する。
Sofriaとしても、こうした確認を大切にしたいと考えます。
読み手としても、まずは「具体的だから本当」と受け取る前に、何をもとに書かれた文章なのかへ目を向けてみる。その一歩が、表現の巧さと情報の確かさを見分ける助けになります。
読み手・発信者の確認ポイント
- 元の体験や発言を確認できるか
- 編集で香り・効果・評価をつくり足していないか
- 意味の変わる修正を発言者へ確認したか

