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SOFRIA JOURNAL ESSAY 05 / 05

自分と家族を守る備えと被害に気づいたときの行動

自分の判断力だけに頼らず、相談できる相手と手順を用意する。日常の設定から、送金や情報提供の後に取る行動までをまとめます。

白い扉に向かって並んで座る二匹の黒猫と、周囲を緩やかにつなぐピンクのリボン
一人の判断力に頼りきらず、相談できる関係をつくる。AI生成によるイメージ。

はじめに

この連載の最初に、私は、身内の声で助けを求められたら冷静に判断できるか分からない、と書きました。こうした手口や対策を知っても、「もう絶対にだまされない」とは言えません。

疲れている日もあれば、心配事で頭がいっぱいの日もあります。そのときの自分に、普段と同じ判断力を求め続けるのは難しい。だから、落ち着いている今のうちに、確認する相手と手順を決めておこうと思います。

確認するときの約束を一つ決める

「お金を送ってほしいと連絡が来たら、一度かけ直すね」。家族や信頼できる人との約束は、そんな一言から始められます。相手が友人でも構いません。困ったときに連絡できる人を、思い浮かべてみてください。

そして、確認の連絡を受けた側は、面倒がらないこと。「そんなことで電話してきたの」と言われたら、次から遠慮してしまうかもしれません。「聞いてくれてよかった」と返せる関係でいたいと思います。

本人確認の補助として、非公開の合言葉を決める方法もFBIが紹介しています。ただし、合言葉だけで送金を許可する運用にはしないでください。ここでは、かけ直しに加える補助手段として勧めます。誕生日やペットの名前など、公開情報から分かるものは避けましょう。FBIの家族向け対策

確認先は、紙にも書いておくと安心です。通話を切った後、確認先をすぐ見つけられます。余白に「相手が教えた番号にはかけない」と添えて、手の届く場所に置いておきましょう。

アカウントと日常の設定を見直す

警察庁は、サービスごとにパスワードを分け、追加の認証を活用し、OSやアプリを更新することを案内しています。まずはメール、金融、SNSなど、自分が日常的に使うサービスの設定を確認してください。警察庁の被害防止対策

追加の認証を有効にしていても、相手の指示で認証コードを教えてしまっては危険です。IPAは、偽サイトに入力した使い捨ての認証コードが、直ちに不正決済などに悪用される手口を説明しています。IPAのワンタイムパスワードに関する解説

身に覚えのないログイン承認の通知にも、そのまま許可を出さないようにしてください。「何の操作を承認しているのか」が分からなければ止めます。

口座やカードについては、利用通知を受け取れるか、限度額が普段の用途に合っているかも確認してみてください。国民生活センターは、カードの明細確認や利用限度額の見直しを対策として挙げています。ただし、限度額を下げても、その範囲の損失を防げるわけではありません。国民生活センターのカード利用に関する助言

SNSでは、誰に顔や声、家族関係が見えているかを見直します。公開範囲を狭める対策もFBIが案内しています。投稿をすべて消すことを求めたいわけではありません。知らない人にも見せる必要がある情報なのか、一度考えてみてください。FBIの公開情報に関する助言

お金や情報を渡したらすぐに相談する

「もう送ってしまった」。そう気づいた瞬間は、誰かに話すことさえつらいかもしれません。それでも、一人で抱えないでください。まず追加の送金や情報提供を止め、渡したものに応じて連絡します。記録を全部そろえるのは、後からでもできます。

起きたこと最初に行うこと
銀行口座へ振り込んだ振込先の金融機関と警察へ速やかに連絡する。利用した銀行にも事情を伝えて対応を相談する。
カード情報を入力したカード会社の公式窓口へ連絡し、利用停止や再発行など必要な対応を相談する。
パスワードを入力した公式アプリや確認済みのサイトから変更する。同じパスワードを使う他のサービスも変更する。
認証コードを渡した利用先サービスの公式窓口へ直ちに連絡し、不正利用の確認と必要な対応を相談する。
身分証画像を渡した警察に相談し、身分証の種類と渡した内容を伝える。発行元の公式窓口でも必要な対応を確認する。

必要な対応は、渡したコードや身分証の種類によって変わります。身分証も、再発行さえすれば解決するとは限りません。何を、いつ、誰に渡したかを窓口へ伝え、対応を確認してください。

振込みの被害への連絡先は金融庁が、パスワード漏えいや不正利用への対応は警察庁が案内しています。返金や補償は条件によって異なり、必ず戻るとは限りません。だからこそ、相手との返金交渉だけに時間を使わず、正規の窓口に早く相談してください。金融庁の被害者向け案内、警察庁のフィッシング被害への対応

相手との会話、広告のURL、アカウント名、振込先、金額、日時など、手元にある記録は残します。記録を取り直すために相手との通話を続けたり、危険なリンクを開き直したりする必要はありません。

また、被害の後に「お金を取り戻す」と近づき、別の支払いを求める相手にも注意してください。金融庁は、返還を口実に再び振り込ませる手口を注意喚起しています。金融庁の二次被害への注意喚起

相談先を手元に残す

  • 110番:事件や事故で、差し迫った危険があるとき。
  • #9110:不審な電話など、緊急ではない警察への相談。
  • 188:通販や契約など、消費生活のトラブルの相談。

188は地域の消費生活相談窓口につながります。受付時間などは窓口によって異なります。#9110が利用できない回線では、都道府県警察の公式サイトにある相談窓口の番号を確認してください。警察庁の通報・相談案内、警察相談窓口の案内、消費者庁の188案内

今日確認しておきたいこと

  • お金や情報を求められたとき、いったん止める約束を共有した。
  • 本人や公式窓口へ、自分から連絡を取り直す方法を用意した。
  • パスワードの使い回しと、追加の認証設定を見直した。
  • 相談先と、被害に気づいたときの最初の行動を確認した。

全部を一度に済ませなくても、まず相談相手を一人決めるところから始められます。この記事が、身近な人と確認の約束を話し合うきっかけになればと思います。

大切な人の声なら、信じたいと思う。それは、きっとこれからも変わりません。その気持ちを利用する相手に、お金や情報まで渡してしまわないように。声を聞いた後、送る前に、もう一度こちらから確かめる。そのひと手間を、私も忘れずにいたいと思います。

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