はじめに
いつも見ているSNSに、知っている著名人の広告が流れてくる。以前から欲しかった商品が、大幅な割引で売られている。電話なら警戒する人でも、自分で興味を持って広告を開いたときには、構え方が違うかもしれません。
「自分で選んで開いた」という感覚があると、電話で突然持ちかけられた話ほど疑わないかもしれません。私が気になるのは、その違いです。欲しかったものが目の前にあるとき、購入ボタンを押す前に何を確認すればよいのでしょうか。
著名人の写真と推薦の事実は別
金融庁は、著名人などになりすましたSNSの投資広告について注意を促し、疑わしい広告の情報を受け付けています。広告に著名人の名前があることだけで、本人がその投資を勧めているとは確認できません。金融庁のSNS投資広告に関する案内
AIを使えば、本人が話しているように見せる素材も作れます。FBIも、投資詐欺の宣伝用動画への生成AIの悪用を挙げています。ただし、SNSの偽広告すべてがAI製というわけではありません。写真の無断使用や発言の切り取りも含め、広告の見た目だけでは実際の推薦を確かめられません。FBIの生成AI悪用に関する注意喚起
気になったら、広告はいったん閉じ、その人や所属先の公式サイトを開いてみてください。同じ商品や投資の案内があるでしょうか。見つからなければ、本当に推薦しているのかは未確認です。詐欺だと決めつける必要はありませんが、お金を出すのは確認してからでよいはずです。
投資の話は相手と連絡経路を確かめる
金融庁は、SNSで知り合った相手からのFXや暗号資産への投資勧誘に関する相談を紹介しています。友人からの紹介であっても、無登録業者や詐欺の可能性があると注意を促しています。金融庁のFX・暗号資産勧誘への注意喚起
グループの中で誰かが「利益が出た」と書いていても、自分のお金を預ける相手が分かったことにはなりません。運営者は誰か。誰の口座へ振り込むのか。連絡先は広告以外の場所でも確かめられるか。地味ですが、お金を出す前には、こうした点を一つずつ確認したいところです。
業者については、広告に載った登録番号の画像を信用するだけでなく、金融庁の公式サイトにある登録業者の検索から照合します。金融庁は、登録業者の名前を悪用する相手にも注意を促しています。名前が見つかっても、今やり取りしている相手がその会社に属するとは限りません。検索で確認した正規の会社の窓口へ、勧誘の事実も確かめましょう。登録の確認を、投資の利益や元本が保証されるという意味に受け取らないことも大切です。金融庁の登録確認と名義悪用への注意
「必ず儲かる」「安全」という言葉にも注意が必要です。金融庁は、そうした言葉で投資意欲をあおるトラブルを紹介しています。将来のお金が心配なとき、安心できそうな話にひかれる気持ちは分かります。それでも、その不安を打ち明ける相手は、勧誘している人だけにしないでください。金融庁の投資話への注意喚起
偽通販は高額な買い物だけの話ではない
国民生活センターは、大幅な値引きをうたう広告から偽通販サイトへ誘導し、お金やクレジットカード情報を奪う手口を紹介しています。国民生活センターの偽通販サイトへの注意喚起
「この値段なら、失敗してもいいか」。買い物では、そう割り切ることもあるでしょう。でも、購入画面で渡すのは商品代金だけとは限りません。カード情報や、ほかの場所でも使っているパスワードまで入力しようとしていないか。安さに目が向いたときこそ、そこを確かめてください。
買いたくなった商品は、普段使っている公式アプリや、確認済みの公式サイトで探し直せます。同じセールが見つからなければ、公式窓口へ問い合わせてみる。少し面倒でも、カード番号を入力した後に心配するより、その前に手間をかけたいと思います。
初めて利用する店では、販売事業者の名前、住所、連絡先、返品条件などを読み、記載が不自然なら取引を保留します。会社名が書いてあることだけでは十分ではありません。実在する別会社の情報が使われる可能性も考え、その会社の公式な案内と照合してください。
国民生活センターも、チェック項目に当てはまるから必ず偽物、当てはまらないから本物、とは判断できないと説明しています。確認項目は、購入を自動的に許可する採点表ではありません。国民生活センターの確認項目と限界
購入や登録の前に残したい三つの問い
購入や登録に進みたくなったら、この三つを振り返ってみてください。
- この商品や勧誘を、広告とは別の公式な経路でも確認できたか。
- 急いで決めようとしているのは、自分の都合か、相手の言葉のせいか。
- お金や情報を渡す相手について、説明できない点が残っていないか。
答えが曖昧なら、その日は保留で構いません。相手や取引内容を確認できていないことは、購入を見送る十分な理由になります。不正を断定することと、自分のお金を渡すかどうかを決めることは、分けて考えられます。
不審な広告はSNSの通報機能を使い、取引上のトラブルは消費者ホットライン188へ相談できます。188は、地域の消費生活相談窓口につなぐ番号です。消費者庁の188案内
次回は、URLや画像の出典など、具体的な確認の技術を扱います。同時に、その技術だけでは確かめられないことも整理します。




